新型コロナ対策資本性劣後ローンについて
日本政策金融公庫の融資制度です
公庫で「新型コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付」という新しい融資制度が始まっています。通称“新型コロナ対策資本性劣後ローン”(通称も長いですが)と呼ぶそうです。中小企業診断士の研修でこの制度の説明が公庫さんからあったのでご紹介したいと思います。詳細についてはこのチラシをご覧ください。
②【チラシ】新型コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付(新型コロナ対策資本性劣後ローン)
資本性劣後ローンとは?
資本性劣後ローンという融資形態は今回生まれたものではなく元からあったものです。簡単に言うと“劣後ローンの借入は金融機関の査定上資本金とみなす”というものです。資本金とみなしてもらえるので債務超過の会社であっても査定上は債務超過を解消することが出来ます。
協調融資が前提
民間の金融機関に融資を申し込むとき債務超過状態だとなかなか融資を受けることが出来ません。そこで民間の金融機関から融資を受けられるように公庫が手助けしてあげましょうというのが今回の劣後ローンの趣旨です。ですので中小企業再生支援協議会など支援を受けている場合を除いて、民間の金融機関に融資を申し込む予定の事業者が対象になります。
期限一括返済・低金利
この制度の凄いところは月々の返済が無く(期限一括返済)、その期限が最長20年であることです。金利についても業績連動(最初の3年間は業績好調でも0.50%)となっており、業績が悪化した場合は利息負担を大幅に減少させることが出来ます。
事業計画書の提出が必要
原則的にこの制度の申し込みには事業計画書の提出が必要です。
この事業計画書については次の3点を重視するそうです。
・黒字化の実現可能性とその時期
収益が増加する明確な根拠はあるか?
・事業の継続性
途中で資金不足になったとしても民間の金融機関などから資金を補填することはできるのか?
・返済可能性
返済期限までに一括返済できるだけのキャッシュは積み上がっているのか?
誰でも申し込めるの?
ここまで公庫の劣後ローンについて紹介してきましたが非常に魅力的な制度です。こんな制度があるなら誰だって申し込みたいですよね?ただ従来の劣後ローンは申し込みのハードルが高いものでした。売上規模が大きい・地域を代表するような産業・潰れたら連鎖倒産が起こったり大量の失業者が出てしまうといった“国にとって支援する価値の高い”企業が対象のイメージがあります。
国民生活事業でも扱っている
公庫には中小企業事業と国民生活事業という二つの窓口があるのですが、中小企業事業が規模の大きい会社、国民生活事業が中小零細企業の窓口になります。今回のセミナーでは国民生活事業の課長が講師だったのですが、Webセミナーだったので申し込み状況の実態などリアルな部分の質問は出来ませんでした。ただ国民生活事業も窓口になっていること、新型コロナ対策の制度であることから従来の劣後ローンよりはハードルは下がっているのではないでしょうか?いずれにせよ聞いてみるのはタダなのでご興味のある方は一度お問い合わせしてみてください。
数値的な要件は無し
具体的な申し込み要件は上のチラシを見ていただければわかりますが、以前のコロナ融資のような“売上が〇%以上減少している”といったような数値的な要件はありません。
債務超過の原因はコロナでなければならない
この制度は債務超過の解消が趣旨ですが、あくまでコロナ対策の制度なのでコロナ以前から赤字体質であった場合は対象外とされると思います。